就業規則の解説と作成方法をわかりやすく!社会保険労務士による詳細解説【中小企業支援】
就業規則の定義と重要性
就業規則とは、企業における労働者の賃金や労働時間などの労働条件をまとめたルールブック(規則集)です。就業規則は、原則、企業の労働者全体に適用されるルールとなります。他に労働条件をまとめたものとしては雇用契約書や労働条件通知書がありますが、これらは個々の労働者に適用されるルールとなります。
就業規則により会社の共通ルールを定め、会社と労働者が双方にそのルールを守ることは、安定した職場運営と労働者が安心して働くことにもつながります。また、安定した職場と労働者の安心は、労働者のモチベーションと生産性の向上も期待できます。これらのことから就業規則を作成することは大変重要です。
中小企業における就業規則の役割
中小企業における就業規則の役割とは、まず労働者相互の公平性を確保する役割があります。多くの労働者が働く職場において、一人一人に対して公正で一貫性のある取り扱いを提供するため、基本的な労働条件や待遇についてルールを設けることが重要です。これにより、労働者間の不平等や不公正な扱いを防ぐことができます。
次に、労働者が自身の権利や義務を把握しそれに基づいて行動することができるため、組織内の円滑なコミュニケーションと協力関係を築くことが可能となります。就業規則は労働基準法のほか様々な法令に沿って適切に作成・運用することで、会社にとっての法的リスクを抑えるとともに労働問題の予防の役割も担っています。
総じて言えば、就業規則は会社と労働者の両者が互いに協力し、よりよい労働環境を築くために不可欠なものと言えるでしょう。
就業規則が必要な理由
就業規則が必要な理由はいくつかあります。
以上の理由から、企業運営において就業規則が必要と言えます。就業規則は、法令の遵守、労働環境の整備、組織秩序の確立、紛争予防と解決のためのガイドラインといった重要な役割を果たします。
就業規則の法的基盤:労働基準法の解説
労働基準法における就業規則の位置付け
労働基準法では、企業(使用者)と労働者との間の労働条件を明確にするためのものとして、常時10人以上の労働者を雇用する企業に就業規則の作成及び届出を義務付けています。
就業規則は、雇用契約書や労働協約と同様に、企業と従業員との合意に基づく契約の一部として扱われます。
就業規則は企業側が主体的に作成することができますが、労働基準法の規定に抵触しないようにしなければなりません。作成した就業規則は従業員に周知することによって、初めてその効力が発生します。
労働契約と就業規則の関係
労働契約と就業規則は、労働関係において異なる役割を持ちながらも、密接な関係があります。
労働契約は、企業と個々の労働者の間で合意される契約であり、労働時間や賃金などの具体的な内容が記載されます。この契約に基づいて、労働者は労働を提供し、企業は対価として賃金を支払います。
一方、就業規則は、労働基準法及び労働関連諸法令に基づいて企業が作成する規定集であり、企業と労働者全体に対する労働関係に適用されます。就業規則は法的義務に基づくものであり、賃金などの労働条件のほか労働時間、服務規律、懲戒規定などを明確に規定します。
なお、就業規則と労働契約の関係において、労働契約が就業規則の基準を下回る場合はその部分において無効とされ、無効となった部分は就業規則の基準とされます。また、労働契約が就業規則の基準を上回る特約などの扱いは差し支えありません。
就業規則は労働契約に基づいて作成することが一般的であり、基本的な条件に加えて、法的な要件や企業の方針を具体化するためにも使用されます。労働契約が基本の枠組みを提供し、就業規則がその具体的な内容を補完する役割を果たしています。
したがって、労働契約と就業規則は相互に関連しており、両者を遵守することによって、雇用関係を適正かつ円滑に維持することができます。
就業規則の作成義務
作成が義務付けられる企業の条件
労働基準法では、従業員を常時10名以上雇用する企業(事業場単位)に対して、就業規則の作成が義務付けられています。
常時10人以上とは、一時的に10人未満になることはあっても、常態として10人以上の労働者を雇用していることを指します。この10人以上には、パートタイマーやアルバイトなどの臨時的な労働者もすべて含みます。
事業場とは、本社や工場、店舗のように一定の場所のことを指します。就業規則の作成・届出義務における労働者の人数要件は、企業単位ではなく事業場単位とされています。例えば、複数の店舗を有する事業において、それぞれが常時10人未満であれば、法律上の義務は生じません。
ただ、常時10人未満の企業であっても就業規則を作成することに問題はありません。むしろ、前述「就業規則が必要な理由」のとおり、就業規則には法令の遵守、労働環境の整備などの理由から、10人に達する前から就業規則を作成する企業も少なくありません。
作成しない場合のリスクとペナルティ
法律で就業規則の作成を義務付けられている従業員を常時10名以上雇用する企業が就業規則の作成をせずまたは届出をしなかった場合は、労働基準法違反となります。
また、法律違反のみならず、就業規則を作成しないことによる法的な問題以外にも様々なリスクを伴います。
1. 経営リスク:
就業規則は企業と労働者との関係や業務の遂行におけるルールを定めるものです。規則がないために業務の円滑さや予測可能性に欠ける可能性があります。また、労働者同士の摩擦や混乱が生じる可能性もあります。これらは経営におけるリスクとなり、労働環境の混乱や生産性の低下につながる可能性があります。
2. 労働者の不満や離職リスク:
就業規則は労働者の権利や義務を明確にするためのものです。規則がない場合、労働者は労働条件や福利厚生についての情報を得ることが難しくなり、不満や不信感を抱く可能性があります。不満の蓄積や離職やパフォーマンス低下に繋がる可能性もあります。
3. 雇用関係の紛争:
就業規則は雇用関係の基盤となる重要なものです。規則がない場合、労働者と雇用主の間で紛争が生じた場合、対応や解決が困難になる可能性があります。労働者の権利や義務を明確にすることで、紛争のリスクを低減することができます。
以上が就業規則を作成しない場合の一般的なリスクとペナルティの例です。
重要なのは、就業規則が労働条件の透明性や法的要件の遵守を確保する役割を果たすことであり、それを軽視することは企業にとって様々な問題を引き起こす可能性があるといえます。
就業規則に含めるべき項目とその詳細
絶対的記載事項の具体例
絶対的記載事項とは、就業規則においていかなる場合にも必ず記載しなければならない事項のことです。
1.労働時間
始業及び終業の時刻
始業及び終業の時刻は、法律における労働時間の規定を踏まえて設定する必要があります。
具体的には、法律における労働時間は、休憩時間を除き1日8時間、週40時間を超えて労働させてはならない、と定められています。始業時刻と終業時刻の設定は、休憩時間を加味して労働時間が8時間以内にする必要があります。
休憩時間
休憩時間は、労働時間の途中に、1日の労働時間に応じて与える必要があります。
6時間以下 | 休憩なし |
---|---|
6時間超え8時間以下 | 少なくとも45分 |
8時間超え | 少なくとも60分 |
休憩時間について、法律の基準を上回ることは差し支えないため、1日の労働時間が8時間の場合に、休憩時間を1時間(60分)と設定することは問題ありません。
休日
休日は、毎週少なくとも1日もしくは4週間を通じ4日以上与える必要があります。この規定における休日を「法定休日」といいます。
一般的には、土曜日、日曜日を休日とした週休2日制の企業が少なくありません。この会社が定める休日を「所定休日」といいます。
休暇
年次有給休暇(いわゆる「有給休暇」)や会社任意の休暇(慶弔休暇や特別休暇)を規定します。
労働者を2組以上に分けて交替に就業させる場合においては終業時転換に関する事項
工場などでの交替制の企業における規定を定めます
2.賃金
賃金の決定、計算
基本給や手当の名称、内訳、金額のほか、計算方法(残業などの割増賃金や遅刻・欠勤などの賃金控除など)
支払の方法
法律上の原則は現金手渡しですが、一般的には口座振込が多いです。
賃金の締切り
1か月単位の賃金計算期間のことです。
月の初日から末日までの「月末締め」のほか、16日から翌月15日までの「15日締め」など、企業の任意に決めることができます。
支払の時期
毎月の給与支給日のことです。
「25日」「末日」「10日」など、企業の任意に決めることができます。ただし、毎月決められた日に支払う必要があります。
昇給に関する事項
昇給の時期と昇給の基準、方法等を明示します。
3.退職について
退職に関する事項(解雇の事由を含む。)
労働者自身の理由による自己都合退職のみならず、企業側の理由における解雇についても、その事由を網羅的に定めます。
相対的記載事項の項目と概要
相対的記載事項とは、定めるか否かは自由であるが、定めた場合には必ず記載しなければならない事項のことです。
相対的記載事項に該当するものとして、以下があげられます。
1.退職手当の適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払の方法並びに退職手当の支払の時期に関する事項
2.臨時の賃金(退職手当を除く。)及び最低賃金額に関する事項
3.労働者に負担させる食費、作業用品その他に関する事項
4.安全及び衛生に関する事項
5.職業訓練に関する事項
6.災害補償及び業務外の傷病扶助に関する事項
7.表彰及び制裁の種類及び程度に関する事項
8.その他当該事業場の労働者の全てに適用される定めに関する事項
例えば、退職金(退職手当)の有無は、法律の義務ではないため、会社の任意ですが、退職金を支給する場合は、誰に支給するのか(労働者の範囲)、その金額(退職手当の決定、計算)などを定める必要があります。
任意的記載事項と具体例
任意的記載事項とは、記載するかは自由である事項のことです。
具体例としては、経営理念等を就業規則に掲載することがあげられます。企業が大切にしている想いや価値観である経営理念等を就業規則と併せて労働者に示すことで、その周知・浸透を図ると共に、働く上での行動規範としての役割を果たすことができます。
就業規則の作成と届出についてのステップバイステップの説明
社内での作成流れ
就業規則の作成の流れについては法律の定めはなく、企業の実態に合わせて任意に進めることが可能です。以下の流れは、社内で対応を進める際の一般的な例となりますが、参考にしてください。
1. 準備段階:
就業規則を作成する前に、企業の方針や目標を明確にしましょう。また、従業員や経営者の要望や必要性をヒアリングし、就業規則に盛り込む内容を検討します。
2. チームの構築:
就業規則作成のためのチームを結成します。小さな会社では担当者と責任者の体制で運用することが多いです。中堅規模の会社では、人事部、法務部、労務担当者、従業員からの代表者などが含まれることが一般的です。
3. 法的要件の確認:
就業規則は労働基準法のほか労働関係諸法令の規定を遵守する必要があります。従業員の権利や企業の義務など、関連する法的規制を確認します。
4. ドラフトの作成:
チームで協力し、就業規則の初版(ドラフト)を作成します。この中には、労働時間、休日・休暇、賃金、福利厚生、服務規律など、従業員に関連する内容を具体的に記述します。
5. チームによるレビュー:
ドラフトをチームでレビューし、必要な修正や変更を行います。ここでは、法的なコンプライアンスや、労働者及び企業のニーズに合わせた内容に注意を払います。
6.社内公開とフィードバック:
完成したドラフトを社内に公開し、従業員からのフィードバックを収集します。これにより、従業員の意見を取り入れつつ、より適切な規則を作成することができます。
7. 最終版の作成と承認:
フィードバックの選定及び反映をさせ、最終版の就業規則を作成します。最終的には、社内稟議を踏まえ、経営者などの関係者による承認を得ることが重要です。
8.従業員への周知と意見聴取:
完成した就業規則を従業員に周知します。また、就業規則の届出に対応するため、労働者の過半数代表者もしくは労働者の過半数で組織する労働組合の意見を聴きます。
周知の方法と法的効力
就業規則は作成したのちに、労働者へ周知する必要があります。周知は、法律上の効力発生要件とされています。
例えば、就業規則を作成し届出したのち会社の金庫に保管されており誰の目にも触れていない就業規則は、法律の義務に応えただけであり、その就業規則は無効となります。
法律上の効力とは、就業規則が示す企業と労働者双方の権利・義務関係や職場全体のルールが法律上の根拠を持つということです。法律上の根拠がある周知された就業規則があり、その規定に則り適切な運用がなされていることが前提にあって、はじめて裁判等の法的問題に対応することができます。
つまり、周知がなされていない就業規則は、企業にとって意味がないものであり、潜在的な法的リスクを抱えているものと言えます。
周知の方法は、法律で定められている以下のいずれかの方法で対応します。
・常時各作業場の見やすい場所へ掲示し、又は備え付けること。
・書面を労働者に交付すること。
・磁気テープ、磁気ディスクその他これらに準ずる物に記録し、かつ、各作業場に労働者が当該記録の内容を常時確認できる機器を設置すること。
具体的な周知の方法は、企業の実態に応じて対応を検討します。
例えば、製造業やサービス業など店舗系の事業においては、印刷した就業規則を一冊用意して掲示や備え付けで対応するのが一般的です。また、労働者毎にパソコンが利用できるオフィス系の職場であれば、社内の共有サーバー等に保管し、常時確認できるようにして対応することが多いです。人数が少ない職場では、書面交付でも差し支えありません。ただ、変更の度に都度全部差し替える必要があります。
届出までの手続きと必要書類
就業規則の届出先は、事業場を管轄する労働基準監督署です。企業の所在地を管轄する労働基準監督署については、事前にホームページを確認することをおすすめします。
届出の方法は、窓口への直接持ち込み、郵送、電子申請の方法があります。
届出時の留意点として、窓口への直接持ち込みと郵送の場合は、労働基準監督署に提出する正本と会社控えとなる副本の合計2部を作成し、提出します。副本は、労働基準監督署の受理印を押印されて返却されますので、そちらを届出済みの就業規則原本として保管します。
就業規則の電子申請は、政府が運営するe-gov電子申請サイトから行うことができます。アカウント発行などの対応が必要となりますが、24時間いつでも届出の対応ができるほか、就業規則以外の届出対応も可能となるので、利用を検討するのも一案です。
また、就業規則届出の必要書類として、就業規則(変更)届と意見書があります。
就業規則(変更)届は、就業規則届出の際の鏡となる書面であり、会社名等の基本情報を記載します。任意様式の書面ではありますが、厚生労働省のホームページに様式がありますので、そちらを活用するのが一般的です。
意見書は、就業規則について、労働者の過半数代表者もしくは労働者の過半数で組織する労働組合の意見を記載する書面です。意見書も任意様式の書面ではありますが、厚生労働省のホームページに様式がありますので、そちらを活用と良いでしょう。
反対意見が示された場合の対応
意見書では、就業規則の内容について反対意見がある場合も考えられます。
ただ、届出においては、意見書において反対意見が記載されていても差し支えありません。また、意見書に記載された意見を全て就業規則に反映する必要もありません。
反対意見の取り扱いについて不安に思われる方もおられます。
具体的には、「労働者の前職において規定されていた制度を導入して欲しい」という意見に対して、どうしたらいいかという相談があります。
就業規則は労働に関する職場のルールに留まらず、企業と労働者の権利・義務関係を規定するものです。従って、企業の規模や実態に照らして、無理が生じる制度を適用することが望ましいとは言い難いケースもあります。
そのような場合は、労働者の意見は尊重しつつも意見を取り入れられない事情や理由を丁寧に説明することが望ましいでしょう。その上で、現在の職場環境について、企業と労働者の双方が協力して、改善・向上していくことについて理解を得られると良いと考えます。
就業規則の変更と更新方法
就業規則の変更・更新について、法律上の規定はありません。実務的には、法改正の都度、就業規則の変更を行うことが一般的です。なお、就業規則変更の流れについては、前述の「社内での作成の流れ」を参考にして下さい。
なお、労働関係諸法令は、労働基準法のほか多岐に亘ります。昨今では両立支援や多様な働き方の推進の動きから、育児介護休業法、高年齢者雇用安定法、パートタイム・有期雇用労働法等の法改正があり、今後も様々な法改正が見込まれます。
モデル就業規則の活用とカスタマイズ
厚生労働省のモデル就業規則を利用するメリット
厚生労働省では、モデル就業規則を公開しておりますので、自社で初めて就業規則を作成する際には参考にすることが可能です。
モデル就業規則を利用するメリットとしては、
1.合法的な運用:厚生労働省のモデル就業規則は、労働基準法や関連法規に合致しているため、法令順守が容易です。
2.時短:モデル就業規則を利用することで、企業はゼロから就業規則を作成する手間を省くことができます。
3.ひな型としての柔軟性:モデル就業規則は、一般的な労働条件に基づいて作成されており、必要に応じてカスタマイズすることも可能です。
ただし、モデル就業規則はあくまで「モデル」であり、個別の企業の状況に適合させるための修正が必須となります。そのため、法律の内容を理解した上での適切なカスタマイズや社会保険労務士等による専門的なアドバイスを受けることが重要です。
個別企業の事情に合わせたカスタマイズのポイント
モデル就業規則をベースにカスタマイズする際のポイントは、まずは前述の「絶対的記載事項」の内容を押さえましょう。具体的には、「労働時間、賃金、退職」に関する事項です。
労働時間:
始業及び終業の時刻、休憩時間について決定します。サービス業などのシフト制の企業ではシフトパターンごとに記載します。
賃金:
賃金の内訳を決定します。具体的には、基本給の他に手当を支給するか否か、支給する場合は、手当の名称、目的、金額などを検討します。その他にも、賃金の締切日と支払日、遅刻・早退・欠勤等の控除の計算、残業等の時間外労働・休日労働時の割増賃金の計算方法などを規定します。
退職:
労働者自身の理由による自己都合退職のみならず、企業側の理由における解雇の規定も定めておくべきです。また、一般的に、解雇には普通解雇と懲戒解雇があります。懲戒解雇の定めをする場合には、懲戒の種類と程度及び懲戒の事由を明確に記載する必要があります。
モデル就業規則のカスタマイズは、上記の内容に留まりません。
「採用・異動等」、「服務規律」、有給休暇を含む「休暇等」の規定など多岐に及びます。これらについて一つ一つ自社のルールを決めていく必要があります。
また、カスタマイズする上で重要なポイントとして、「導入しない制度は規定を削除する(導入しないと明記する)」ことが挙げられます。
例えば、退職金の制度は、法律上義務ではありません。従って、退職金の導入をしないのであれば、規定を削除するか、就業規則の文言において「支給しない」などと明示する必要があります。
一方で、実務においては、法律上の規定にも関わらず詳細が分からずに規定を削除してしまっているケースも散見されます。
就業規則は企業と労働者との間の権利・義務を規定するものです。実態と相違する文言があることで、後々トラブルに発展する懸念もあります。そのようなリスクは就業規則を作成する段階で取り除いておくべきでしょう。
モデル就業規則のカスタマイズは、法律の内容を理解した上で進めていく必要があります。幸いモデル就業規則には詳細な解説が付属しているため、そちらを読み込みながら進めることも可能です。
結論
就業規則は、企業と労働者との間の権利・義務を規定するものであり、その内容は法律で決められたものに則り作成する必要があります。また、自社のルールを一つずつ規定していく作業が必要となります。
実際に、社会保険労務士に対するご相談としては、「就業規則を作る」こと以上に「自社のルールとして、法律及び一般的にふさわしいものはどういうものか?」という内容がほとんどです。
就業規則が単にルール集に留まらず、安心して働くベースとなり企業の生産性の向上に寄与し、企業と労働者の双方のよりよい職場と将来を共に創っていくものとして意味のあるものにしたい、という要望に対して、社会保険労務士が、就業規則の内容をお客様と一緒に考え、一つ一つ作っていくことをしております。
弊所では、就業規則の作成・変更について、豊富な支援実績を有しております。初回のご面談は無料で承っております。ぜひお気軽にお問い合わせください。
FAQ
就業規則とは何ですか?
就業規則とは、企業における労働者の賃金や労働時間などの労働条件をまとめたルールブック(規則集)です。
就業規則がなぜ必要ですか?
就業規則は、法律上の作成義務のほか、法令の遵守、労働環境の整備、組織秩序の確立、紛争予防と解決のためのガイドラインといった重要な役割があり、企業運営において欠かせないものです。
労働基準法における就業規則の位置付けは?
就業規則は、雇用契約書や労働協約と同様に、企業と従業員との合意に基づく契約の一部として扱われます。
就業規則の作成には義務がありますか?
労働基準法では、企業(使用者)と労働者との間の労働条件を明確にするためのものとして、常時10人以上の労働者を雇用する企業に就業規則の作成及び届出を義務付けています。
就業規則にはどのような項目が含まれますか?
以下の項目が含まれます。
絶対的記載事項
・始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を2組以上に分けて交替に就業させる場合においては就業時転換に関する事項
・賃金(臨時の賃金等を除く。)の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切及び支払の時期並びに昇給に関する事項
・退職に関する事項(解雇の事由を含む。)
相対的記載事項
・退職手当の適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払の方法並びに退職手当の支払の時期に関する事項
・臨時の賃金(退職手当を除く。)及び最低賃金額に関する事項
・労働者に負担させる食費、作業用品その他に関する事項
・安全及び衛生に関する事項
・職業訓練に関する事項
・災害補償及び業務外の傷病扶助に関する事項
・表彰及び制裁の種類及び程度に関する事項
・その他当該事業場の労働者の全てに適用される定めに関する事項
任意的記載事項
・企業理念、ミッション、クレドなど
・就業規則改定の手続方法など
就業規則の作成と届出にはどのような手続きがありますか?
作成した就業規則は、就業規則の他に以下の書類を添付して、企業の所在地を管轄する労働基準監督署に提出します。
・就業規則(変更)届
・意見書
就業規則の絶対的記載事項と相対的記載事項とは何ですか?
絶対的記載事項とは、就業規則において、いかなる場合にも必ず記載しなければならない事項のことです。
相対的記載事項とは、定めるか否かは自由であるが、定めた場合には必ず記載しなければならない事項のことです。
就業規則は変更や更新が必要ですか?
就業規則の変更・更新について、法律上の規定はありません。実務的には、法改正の都度、就業規則の変更を行うことが一般的です。
モデル就業規則を活用することは可能ですか?
可能です。初めて就業規則を作成する場合には大変参考になります。
ただし、モデル就業規則はあくまで「モデル」であり、個別の企業の状況に適合させるための修正が必須となります。そのため、法律の内容を理解した上での適切なカスタマイズや社会保険労務士等による専門的なアドバイスを受けることが重要です。
この記事を書いた人
大手システム会社のシステムエンジニアを経験した後、任意団体職員として2010年中小企業診断士試験に合格し、2014年に一般社団法人化を果たす。
2015年1月 Hand in Hand 社会保険労務士事務所を開業。
1. 法令の遵守:
労働基準法などの労働関連諸法令に基づき、労働条件を明確に定める必要があります。就業規則は、従業員と企業の権利と義務を明確にし、法令に適合する形で雇用関係を維持する上で重要です。また、常時10人以上の労働者を雇用する事業場では、就業規則の作成と労働基準監督署への届出の義務が生じます(後述)。
2. 労働環境の整備:
就業規則は、労働環境の安全衛生や福利厚生に関する規定を含むことができます。従業員の安全と健康を確保し、仕事の遂行に必要なサポートを提供するために、就業規則で具体的な規定を設けることが重要です。昨今は人材確保の施策として、企業独自の福利厚生の取り組みを規定化し、他社との差別化を図ることも増えています。
3. 組織秩序の確立:
就業規則は、勤務時間、休暇制度、賃金(給与)規程、服務規律、懲戒規程などを定めることができます。これにより、組織内の秩序を確立し、業務の円滑な運営を支援します。また、就業規則は公平な取り扱いと公正な人事評価を促進する役割も果たします。
4. 紛争予防と解決のためのガイドライン:
就業規則には、紛争の予防と解決のための手続きを定めることができます。従業員と企業との間のトラブルが発生した場合に、公正な手続きに基づいて対応できるようになります。